2008年8月20日水曜日

呼ぶ霊

これは私の直接の友達が中学生の時に実体験した話です。
聞いたのは高校生の時。私と彼は同級生でした。

彼はクラスで1、2を争う男性的なイケメンで、凄まじい筋肉質の体をしていました。
ちょっと話はずれますが、彼は、数値でみると平均身長、平均体重(いや、やや軽めだった)であるにも関わらず、服を脱ぐとその筋肉量に驚かされました。
しかし、脂肪率が極端に低かったので、体重は平均以下だったのだと思います。


私自身も、自分の体重と比較して腕力に自信がありましたが、
彼と比べると(ほぼ同じ身長、体重は私の方がやや軽かった)全くお話になりませんでした。
レベルが違いました。


柔道の授業では(当時我々の学校では柔道の授業があった)、
先生の指示で、彼だけ80キロや90キロレベルの生徒と乱取りさせられていました。
彼は同体重の生徒とでは、試合にならないのです。


で、彼は非常に綺麗好きでした。
彼は部活に行く時も、脱いだ服は綺麗に畳んで、机の上に几帳面に重ねてありました。
数年後になって、彼の彼女から聞いた話によると、彼は突然車を止め、ティッシュを取り出したかと思うと、ボンネットの上で死んでいた「ハエ」を綺麗にふき取ったそうです。(普通の男なら、手で払うか、息で吹き飛ばす)

つまり、それほど彼は「キレイ好き」で「くだらないホラ話をして注目を集めようとする人物ではない」と言うコトを言いたかったのです。


彼が中学生の時、昼食後に仲間数人と裏庭?で話をしていたそうです。
で、そろそろ教室に戻ろうかなと、皆が立ち上がった時に、
彼は突然、裏庭の隅にあるゴミ焼却炉を「開けて」みたくなったそうです。

そこまで聞いて私は彼に質問しました。
「なんでオマエがそんなことしようとしたん?」
「そやろ。俺、普通、そんなコトせーへんやろ。そやけど、その時、急にそーしたなってん」

彼は、突然の衝動に従ってゴミ焼却炉に近づき、その扉を開けようと、手を伸ばしました。
その時、始業のチャイムが鳴り、教室に向かって歩き始めていた仲間がその友人を呼びました。
「○○!なにしてんねんな。授業はじまんで」

友人はハッと我に返り、伸ばした手を引っ込めて、教室に向かいました。

そしてその日の5時限目、用務員のオジサンが、ゴミ焼却炉に捨てられていた産まれたての赤ちゃんを発見しました。
赤ちゃんは既に死亡しており、学校の近所に住む女性が捨てたらしいとのことです。

この赤ちゃん遺棄事件は当時新聞にも記事として掲載されたそうです。

この時、私の友人はゴミ焼却炉に捨てられた赤ちゃんの微細な「匂い」を無意識の内に感じ取ったのかもしれません。
しかし、それでも、なんでわざわざ綺麗好きな友人が用もないのにゴミ焼却炉を開けようとしたのか・・・。

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