私が部屋を出ようとした瞬間、
ここにいる筈のない若い女性が、
私の目の前、数十センチの位置に、
いきなり、突然、現れたことがあります。
そして、その女性は一瞬で消えました。
ギョぇ~!
とか、
ひぇ~
とか、
叫んで泡を吹いて倒れたりすることはなく、
あれ?
と思いました。
これが髪を振り乱し、逆立て、血まみれで白目を剥いた女性だったなら、
おおっ!
とか言いながら後ずさりして、机で足を打ち、そのまま後ろにひっくり返って頭を打ったのかもしれませんが、
特にそんな凄惨な表情でなく、一瞬だったので、いまいちよく分からなかったのですが、
とにかく、恐怖を呼び起こす表情ではなかったと思います。
あれ?あれ?あれ?と思いながら、
部屋を出ようと、椅子から立ち上がり、壁の下にあるコンセントを抜き、ドアに向くという、
たった今行った動作を再現してみました。
すると、コンセントを抜きドアに体を向ける動作の途中、
私の視線が、テレビ台の上になにげなく置かれた雑誌を捕らえることに気がつきました。
移動する視線がその雑誌を通っていたのです。
雑誌の表紙は笑顔の若い女性タレントでした。
急いでコンセントを抜き、ドアに向き直ったので、
視線は急激に回転したのですが、
その一瞬に、人間の動体視力が認識できる最小スパンに、その雑誌の表紙が入ったのかも知れません。
だからその雑誌の前後の景色?は認識できず、表紙だけが、
つまり女性のアップだけが、突然私の前に現れたかのような錯覚に陥ったのだと思います。
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