2008年9月18日木曜日

狐に化かされた話

祖母は狐に化かされたことがあると言った。
既に死んで何十年もたつ。生前に聞いた話だ。

その時祖母はすでに70歳を超えていたが、80を超えるまで元気に買い物などに行っていたので、その頃はまだまだ元気満々だった。

その日、近所の豆腐屋に豆腐を買いに行った。
(これが、「油揚げ」を買いにいったのなら、話として出来すぎなのだが、
実際に何を買ったのかは、忘れた。
当時、俺自身が狐に化かされる原因を知らなかったので、あまり気にとめなかった)

その豆腐屋は、家から道のり距離にして約300メートル。
途中の曲がり角は最小でたったの一箇所。
(実際はもっと近道する為に、路地のような道を通るので、距離的には短くなり、曲がり角は増えた)
で祖母はその帰りに化かされたのだ。

行けども行けども家には到着せず、約1時間彷徨った末に、ハタと気がついた。
「これは狐に化かされている!」そう思った祖母はピタリと立ち止まり、辺りをうかがった。
すると今まで気がつかなったが、そこは、家と豆腐屋の間の道ではなく、家から豆腐屋と向かう方向とは全く逆方向に30分も歩かねばならない場所だったのだ。

単にボケていたのだと言われれば、それまでの話なのだが。

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