「やっと落ち着いたわわね」ミカが言った。
「そうね」シズが答えた。
事件終結から二週間がすぎた。
学校も表面的には平穏を取り戻した。
一連の事件は、生徒達の間で、ミカシズがテレパシー実験をしたことにより、元々学校に獲りついてた悪霊が呼び覚まされて、そしてその悪霊が引き起こした事件だったと噂されていた。
大人たちの間では「集団ヒステリー」の一言で済まされた。
ミカシズの学校関係者の諜報と情報操作能力は驚くべきもので、これだけの騒ぎがあったにもかかわらず、この事件が新聞を賑わすことはなかった。
一時期はクラスから村八分にされていたアキラだが、現在は「悪霊に取り付かれた男」として、正真正銘、折り紙つきの『電波』となり、クラスで地位を築いていた。
それまでは単なる「変な奴」だったので、相当の出世と言えなくもない。
一方、アイも、シズを襲った直後は、ひんしゅくをかっていたが、
今では憑依体質を実証してみせた信用できる「こっくりさん使い」として、占い好きの女子からは以前にも増してカリスマ的な人気を得ていた。
「ひとつわからないことがあるの」ミカはシズに言った。
「わからないことだらけだけど、集団ヒステリーという心理的な理由では説明できないことがあるの。あの日、教室の騒ぎや監禁された家で、部屋が揺れてガラスが次々に割れたでしょう」
「うん」
「あれを思い出すと、もしかすると本当に悪霊がいたのかも・・・って思ってしまうわ。監禁されていた時は、あの揺れのおかげで猫達が侵入できたんだから、もしかしたら逆に守られたのかも・・・って」
「あれね・・・私も調べたんだけど・・・もしかすると・・・」
「もしかすると?」
「ミカの声が原因かも」
「私の声?」
「そう。あの時、どちらもミカが叫んでた時に、起こったでしょ」
「そう言えばそうね」
「モノにはコユーのシンドースウがあるんだって。そのシンドースウーと同じ音波を当てると、キョーシンしてそれは破壊されちゃうんだって」
「私の悲鳴が窓ガラスと共振したの?」
「そうだと思う。まれな現象だけどミカなら可能だと思う」
「一度、実験してみましょう」
ミカが辺りをうかがうと、他の生徒は既に下校しており、教室にいるのはミカとシズだけだった。
「あの時、どんな感じで叫んだかな~~~」
ミカは深呼吸をすると、大声で叫んだ。
「ギャ~~~~~~~~~!」
ミカの位置に近い窓から順に、バン、バン、バンと、
次々にガラスが破裂した。
ミカは目を丸くした。
ミカとシズは見つかってはいけないと思い、手に手を取って、教室を走り出た。
終わり。
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