2008年10月13日月曜日

第三話  「消える死体」

「学校の怪談・イン・ジャンク都市」シリーズ 第三話「消える死体」


「あそこから飛び降りる幽霊が出るんだって」
タケシはそう言った。
「本当に誰かが飛び降りたんじゃないの?」
「でもさ、俺の友達の兄貴が飛び降りを見て、驚いて下を覗いたんだって、
そしたら、あの一角、つまり5メートル四方だけが、なぜか、それが偶然なのか、この10階層から一階層の一番下まで、筒抜けの空間で、間にビルも家も道路もなかったんだって。
だから突き当たりは見えなくて、もちろん人の姿も見えない」

タケシらも、その空間を覗いてみた。
確かに下には何もない。視界の先端は闇になっていた。

「それでさ、兄貴の友達は一層一層、一階一階、人が引っかかってないか確かめながら降りていったんだって。そしてさ、まる1日かかって、一番下までついてしまたんだ」
「え!一番したまで行っちゃったの」
「そう。それで一番下にも、飛び降りた人はいなかたんだって。
だから、飛び降りた人は実際の人ではなかった。幽霊だって気がついたんだって」

偶然にも何もない空間が重なって、全層を突っ切ることになったその空間。
ここからから飛び降りると、途中で引っかからない限り、一階層にダイレクトに激突する。
人体などは、バラバラに弾け飛び、皮膚は裂け、肉は飛び散り、骨は砕けた。

地面に近い階層で大量発生している肉食昆虫や、野良犬、野良猫、捨てられたペットや野生化した野良トカゲ、野良ワニ、野良・・・
それらあらゆる昆虫、野良生物が数分でバラバラひき肉状態の人体を跡形もなく綺麗に食べていた。

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