ミーシャはサッシ越しにシズを見つめていたが、行動は起こさなかった。
ミーシャは利口な猫だ。しかし、窓を開けるのも、外から帰って来たら足を拭くのも、一瞬で習得した訳ではない。2,3日はかかった。
シズは精神を集中させて、ミーシャに画像を送った。
ミーシャが急に走り出した。こちらに向かってきたが、縁側の下に見えなくなった。
床下に潜り込めるといいのだけれど・・・。シズは祈った。
しばらくすると、台所の床下収納庫のフタが持ち上がった。
ミーシャの顔がのぞいた。
「シズ!来たわよ。ミーシャーが来たわよ!」ミカは興奮して、やや声が大きくなった。
「シッ!!リサが起きるわよ」小さな声で言った。
ミーシャはシズに近づいてきた。シズは再びブツブツとつぶやき始めた。
ミカは、きっと「ロープを噛み切れ」と伝えているんだわ。と思った。
やがてミーシャはふたりを柱に縛り付けているロープを噛み始めた。
凄い!!!シズもミーシャも凄い!!
ミカは心の中でそう叫んだ。
これで、リサが意識を取り戻す前に、ここから脱出できる!
そう思った時、この家の門が開く音が聞こえた。
続いて乱暴に玄関が開く音。
ミーシャは驚いて、動きを止めた。
第三十八話へ
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