2008年10月19日日曜日

ミカシズ   第四十一話

レイカは金属バットを振り上げた。

「やめて!」ミカが言った。

「やめない」レイカが言った。

「みんなの前で、テレパシーは嘘だって言うから!」

「もう遅い!」

レイカは体をそらし、力をためた。

バットが放物線を描いて、シズの頭上に向かった。

「やめて~~~~~~!!!!」

ミカの絶叫が部屋に響いた。

突然、部屋が揺れだした。ガタガタと地震のように。

レイカの動きが一瞬止まった。。

縁側へと続くガラス・サッシが鋭い破裂音を出して粉々砕け散った。

レイカがひるんだ。

その瞬間、いつの間にか数十匹に膨れ上がっていた「猫」達が縁側から部屋に雪崩れ込んできた。

半分はレイカに襲い掛かった。もう半分はミカとシズを縛っているロープを噛み切り始めた。

レイカの悲鳴が響いた。

猫はレイカに飛びつき、あらゆる部分を引っ掻いた。
レイカは倒れこみ、猫に埋まってしまった。

ミカとシズを縛っていたロープはあっと間に、猫達に噛み切られた。

立ち上がったシズは言った。

「ミーシャ!もういいの!やめさせて!!」

レイカを襲っていた猫達は次々に飛びのいた。



レイカは起き上がることができなかった。
私の体に傷がついた・・・私の体に傷が・・・それに、どうしよう・・・。私がエスパーであることがばれてしまった。
ミカシズを殺し損ねた。どうしよう・・・どうしよう・・・。とりかえしがつかないわ・・・


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