レイカは金属バットを振り上げた。
「やめて!」ミカが言った。
「やめない」レイカが言った。
「みんなの前で、テレパシーは嘘だって言うから!」
「もう遅い!」
レイカは体をそらし、力をためた。
バットが放物線を描いて、シズの頭上に向かった。
「やめて~~~~~~!!!!」
ミカの絶叫が部屋に響いた。
突然、部屋が揺れだした。ガタガタと地震のように。
レイカの動きが一瞬止まった。。
縁側へと続くガラス・サッシが鋭い破裂音を出して粉々砕け散った。
レイカがひるんだ。
その瞬間、いつの間にか数十匹に膨れ上がっていた「猫」達が縁側から部屋に雪崩れ込んできた。
半分はレイカに襲い掛かった。もう半分はミカとシズを縛っているロープを噛み切り始めた。
レイカの悲鳴が響いた。
猫はレイカに飛びつき、あらゆる部分を引っ掻いた。
レイカは倒れこみ、猫に埋まってしまった。
ミカとシズを縛っていたロープはあっと間に、猫達に噛み切られた。
立ち上がったシズは言った。
「ミーシャ!もういいの!やめさせて!!」
レイカを襲っていた猫達は次々に飛びのいた。
レイカは起き上がることができなかった。
私の体に傷がついた・・・私の体に傷が・・・それに、どうしよう・・・。私がエスパーであることがばれてしまった。
ミカシズを殺し損ねた。どうしよう・・・どうしよう・・・。とりかえしがつかないわ・・・
第四十二話へ
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