2008年10月19日日曜日

第二十九話   ミカシズ・シリーズ

ミカが意識を取り戻した。
いつの間にか気を失ったようだ。
起き上がろうとして、体の自由が利かないことが分かった。どうやら柱に縄で縛られているらしい。
大きな部屋で、縁側があり、その外は広い庭と高い壁が取り囲んでいた。相当大きな家で、古くはあったが民家のようであった。

ミカは頭を動かしてみた。頭は動いた。周りを良く見ると、後ろにシズがいた。
柱をはさんで背中を合わせるように縛られているようだ。
「シズ!大丈夫?!」
「うー」
「怪我はない?」
「大丈夫みたい。ミカは?」
「大きな怪我はないようよ。どこかに監禁されたようね。どこかしら」


その時、ふすまが開いて人が入ってきた。
「ようやく、気がついたようね」それはミカやシズが知っている人物だった。
アイのクラスとは反対側の隣クラスの女生徒だった。
「あなたは・・・」
「私はリサよ。よろしく」
「ここはどこ?」
「あなたは知らなくていいの」リサは冷たく言った。

「これまでのことは、あなたがやったの?」
「それもあなた達は知らなくていいの」
「こんなことしていいと思ってるの?」
「思ってるわよ」
「犯罪よ」
「私がここにあなた達を運んだんじゃないもの。私の責任じゃないわ」
「でも関係していることは確かよ」
「それもあなた達は知らなくていいの。それにね、あなた達の特殊能力は嘘だったことにしないと駄目なの」
「どうしてよ」
「理由などあなた達は知らなくていいの。
そうね。アキラだわ。
テレパシー実験の時にアキラがあなた達の協力者になって、目でシズに合図していたことにしましょう」
「アキラが納得しないわ」
「アキラは私が説得するわ。アキラはあんたたちに協力したのに、あんたらだけがいいとこ持っていったのであんたを襲った・・・っていう筋書きができるわ」
「悪知恵は相当のものね」
「それほどでもないわ」
「嫌味よ」
「わかってるわ。で、それでいいわね」
「皆が信用しないわ」
「ふたりで、その通りだと言えば、信じるわ。
それに最初テレパシー実験のイタズラを思いついたのは実はアイで、
アイも、人気を博したあなた達を恨んでいたことにしましょう。
アイが教室に飛び込んできたのは、アキラの携帯メールで連絡を受けて、あなた達の教室の状態を知ったことにしましょう」
「嫌だ。と言ったら?」
「ここで死んでもらうわ。ここには包丁もあるし、バットもあるし、他にも色々道具はそろってるわ。邪魔をする人間もいないし」


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